今日ネットを開いたら気になる見出しがあったので思わず読んでしまいました。
そもそも透析とはなんぞやという話ですが、腎臓の働きが悪くなり機能を果たせなくなった時(具体的には10%~15%以下)に腎臓の代わりに人工的に血液の浄化をすることです。腎臓というと臓器の名前としては聞いたことがあるけれど、何をしているのかと分からないという方もいると思います。
腎臓は主に①尿で老廃物を出す②血圧を調整する(塩分と水分の排出量をコントロール)③体液量を調整する④赤血球(血液細胞の一つ)をつくる⑤骨を丈夫にする(カルシウムの吸収を促すビタミンDをつくる)の五つの働きがあります。内容を見ても重要な働きをしていると分かります。
②は高血圧症と関連します。また腎臓は細い血管の集まりなので血管を傷つける高血糖状態がつづくと機能低下します。これは糖尿病と関連します。つまり生活習慣病と関係が深い臓器なのです。珍しくない病気なので他人事ではありません。
それにしても、「死の選択肢」を医者が提示するなんて衝撃的な見出しだなと思って読み進めていきました。ネット記事にも文字数制限があるのだろうから仕方がないと思いつつ、どうもとんでもない医者がいる、医療は信用ならんという印象を受けました。まだ尊厳死において答えのない日本で「苦しんでいるので治療を受けない権利がある」という言い分を認めるには難しい状況だと思います。そもそも透析のガイドラインの中止基準が「患者の状態が不良」「患者の生命を損なう」場合に限定されています。患者自身が延命拒否をしない限り、透析中止は認められない現状です。やっぱりとんでもないじゃないか。
一方、選択肢を提示したとあるので他の選択肢もあったと推測されます。どのような選択肢があったのかはこの記事からはわかりませんが一方的に問題の選択肢を勧めたかは疑問が残ります。選択肢を説明する際もどのように説明したか、患者でも分かる説明だったのか。そして患者がいったんは透析をしないと別の内科医(提示したのは外科医)に話をしていることから外科医が悪いと言い切れないと思います。そして透析をしないとどうなるか患者がどこまで理解していたのでしょうか。
おそらく患者が意思決定したものの、やはりまだ生きたくなって決定を翻したのではないかと思えます。(記事にもそのような感じが読み取れる文章があります)意思決定は本当に難しいと痛感します。自分が弱っているときに生か死かの選択を迫られるかと思うと考えさせられる記事でした。
まあ、患者にたくさん説明する時間があるほど病院は暇じゃないですね。それから意思決定、患者の権利というけれど医者は時間をかけて勉強し、経験も積んでいます。藪医者、名医と昔から言葉があるけれど、医者の腕がまちまちなのは当たり前じゃないかと思います。同じ仕事を任せても人によって出来がピンキリであると同じです。
自分で情報や知識を集めつつ、専門家のことは耳を傾ける。これに限るような。
それではごきげんよう